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製造業の腰痛対策|
理学療法士が教える「現場で続けられる」予防法と研修活用のポイント
「毎年、腰痛で休む従業員が出る」「安全大会で注意喚起しても変わらない」——
そんな悩みを抱える安全衛生担当者に向けて、理学療法士が製造現場で実際に見てきた腰痛の原因と、明日から実践できる予防法を解説します。
製造現場の腰痛対策、こんな悩みはありませんか?
- 「腰に気をつけろ」と言っても腰痛が減らない
- 安全大会の腰痛テーマがマンネリ化している
- 腰痛による休業者・労災が経営課題になっている
- 何から手をつければいいか分からない
この記事では、理学療法士が製造業4社で延べ270名以上に実施した研修の知見をもとに、腰痛が減らない本当の理由と、現場で続けられる予防法を解説します。
製造業の腰痛はなぜ減らないのか?——最新データが示す現実
製造業は労災死傷者数「全業種ワースト1位」
厚生労働省が公表した令和6年の労働災害統計(確定値)によると、製造業の死傷者数は26,676人で全業種中もっとも多い数字でした。
製造業では「はさまれ・巻き込まれ」が最多ですが、それに次いで多いのが「転倒」と「動作の反動・無理な動作(=腰痛)」です。全業種で見ても、転倒による死傷者数は36,378人(前年比0.9%増)、腰痛等を含む「動作の反動・無理な動作」は22,218人(前年比0.7%増)と、いずれも4年連続で増加しています。
(全業種ワースト1位)
平均休業見込日数
年間腰痛発生率
出典:厚生労働省「令和6年 労働災害発生状況(確定値)」「業務上疾病発生状況等調査」
特に注目すべきは、転倒による平均休業見込日数が47.5日であること。約1.5ヶ月の戦力離脱は、人手不足が深刻な製造現場にとって大きな打撃です。
「気をつけている」のに腰痛が起きる理由
多くの製造現場では、安全大会や朝礼で「腰に気をつけましょう」と注意喚起しています。しかし、勤労者の年間腰痛発生率は54.4%にのぼり、労災として認定されるものだけでも製造業は全体の15.0%を占めています。
なぜ「気をつけている」のに腰痛は減らないのでしょうか。
理学療法士として製造現場で研修を行う中で、私が繰り返し目にするのは次の3つの問題です。
- 正しい身体の使い方を知らない——しゃがみ動作のとき、多くの方は腰を丸めています。しかし本来は、腰ではなく股関節から折る動き(ヒップヒンジ)を使うのが正解です。この動作を知らないまま「腰に気をつけろ」と言われても、何をどう気をつければよいか分かりません。
- 自分の身体の状態を知らない——研修で簡単な身体テストを行うと、「え、こんなこともできないの?」と笑い声が起きることがあります。自分の筋力やバランス能力がどの程度低下しているか、意外と把握できていないものです。
- 月曜日の午前中にリスクが集中する——業務上腰痛は月曜日に最多(19.7%)で、午前9〜12時に約4割が集中しています。週末の不活動から月曜の急な負荷への切り替えが、腰痛を引き起こす構造があるのです。
💡 理学療法士からのアドバイス
「気をつけろ」という精神論では腰痛は防げません。正しい動作を「知る」こと、自分の身体の状態を「測る」こと、そして毎日の習慣に「落とし込む」こと——この3ステップが、製造現場の腰痛を構造的に減らすポイントです。
製造現場で今日からできる腰痛予防3つのポイント
ここからは、理学療法士の視点から、製造現場で実践しやすい3つの予防ポイントをお伝えします。
作業姿勢の見直し——「腰を曲げない」ではなく「股関節を使う」
「腰を曲げるな」という指導はよくありますが、ではどうすればいいのか具体的に伝わっていないケースがほとんどです。
正しいのは、「股関節から折る(ヒップヒンジ)」という動き。持ち上げ動作だけでなく、しゃがみ作業、棚への出し入れ、パレットへの結束作業など、製造現場のあらゆる場面で応用できます。
ポイントは、足を肩幅に開き、膝を軽く曲げ、お尻を後ろに引くようにして上体を倒すこと。腰ではなく股関節で身体を折り曲げることで、腰への負担を大幅に軽減できます。

左:腰が丸まったNG姿勢 右:股関節から折る正しい姿勢(ヒップヒンジ)
朝礼や休憩時間を活用した「5分間予防体操」
腰痛予防に大切なのは、毎日続けられることです。1回30分の体操を月1回やるより、5分の体操を毎日やる方が効果的です。
研修を実施した企業様では、担当者が「体操一覧チラシを社内に掲示し体操を行っていきたい」と話してくださいました。朝礼前の5分間、休憩時間の隙間——このわずかな時間に正しい体操を入れる仕組みが、腰痛予防の定着につながります。
ただし、正しいフォームで行わないと効果が半減するばかりか、逆に痛めてしまうこともあります。最初に正しいやり方を専門家から学ぶことが、継続の土台になります。
「自分の身体を知る」セルフチェックの導入
製造業様の研修では、受講者から「バランス能力がかなり落ちた」「体操を普段から行っていたが方法を間違えていた」という声が寄せられました。
自分の身体がどの程度衰えているかを客観的に知ることは、「やらなきゃ」という動機づけに直結します。簡単なバランステストや柔軟性チェックを取り入れるだけで、従業員の方の意識が大きく変わります。
腰痛以外のテーマも検討したい方に。転倒予防・熱中症・参加型研修など10テーマを紹介。
「知っている」と「できる」の差を埋める——外部研修という選択肢
社内研修だけでは難しい3つの壁
前章の予防ポイントをお読みになり、「内容は分かったが、これを社内だけでやるのは難しい」と感じた方もいるのではないでしょうか。製造業の安全衛生担当者様が直面しがちな3つの壁があります。
- 正しい姿勢・動作を「教えられる人」がいない——安全衛生担当者様は身体の専門家ではありません。ヒップヒンジの指導一つとっても、正しいフォームを見極めて修正するには専門的な知識が必要です。
- 毎年同じ内容でマンネリ化する——「また同じ話か」と感じた瞬間に、従業員の関心は薄れます。安全大会のテーマ選びが毎年の悩みだという声は、多くの担当者様から聞きます。
- 個人差に対応できない——20代と50代では、必要な体操や注意点がまったく異なります。年齢・体力・既往歴に応じた指導は、専門家でなければ難しい領域です。
「参加型」腰痛予防研修の効果
当社(まちリハ)では、理学療法士が製造業の現場に出向き、「座って聞くだけ」ではない参加型の腰痛予防・転倒予防研修を行っています。
| 企業 | 参加人数 | テーマ | 分かりやすさ評価 |
|---|---|---|---|
| 株式会社石原産業様(四日市) | 約100名 | 転倒防止 | 93% |
| 株式会社JTプラントサービス様(墨田区) | 約100名 | 転倒+腰痛 | 88% |
| 日本ポリテック株式会社様(八王子市) | 30名×2回 | 腰痛予防 | 97.9% |
| A株式会社(横浜市) | 約10名 | 腰痛予防 | — |

製造業の安全大会で腰痛予防体操を実践する参加者(2025年実施)
受講者の声
製造業のそれぞれの担当者様からは「実際に体を動かしながら学ぶことで理解が深まり大変有意義な時間となった。体操一覧チラシを社内に掲示し体操を行っていきたい」、「楽しく理解できた」、「自身の体力や認知機能の変化に気づく良い機会となった」との感想を頂いています。
研修の共通点は、「聞くだけ」ではなく「体を動かし、自分の身体の状態を実感する」こと。製造業の従業員様にとって、座学よりも体を使った方が記憶に残りやすく、翌日からの行動変容につながります。
エイジフレンドリー補助金の活用
💰 エイジフレンドリー補助金で研修費用を抑えられます
厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」には、「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」が設けられています。外部の専門家による運動指導に対して、補助率3/4、上限100万円が支給されます。
補助率 3/4 | 上限 100万円
60歳代以上の死傷年千人率は4.00で、全年齢平均の約1.7倍。高年齢労働者が多い製造現場ほど、この補助金の活用価値は高いといえます。
まとめ——製造現場の腰痛は「正しい知識 × 継続 × 専門家の目」で防げる
この記事のポイント
- 製造業は労災死傷者数ワースト1位。転倒・腰痛はいずれも4年連続増加しており、「気をつけろ」の精神論では防げない
- 現場で続く予防法は「正しい動作」「毎日の5分体操」「セルフチェック」の3つ。股関節の使い方(ヒップヒンジ)を知るだけで腰への負担は大きく変わる
- 社内だけでの対策に限界を感じたら、専門家による参加型研修が有効。エイジフレンドリー補助金(補助率3/4・上限100万円)も活用できる
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費用・日程
概算/前提条件の確認/見積の進め方
内容設計
業種リスクに合わせた参加型プログラム
補助金対応
エイジフレンドリー補助金の申請サポート
※7月・10月は日程が埋まりやすいため、早めのご相談をおすすめします。

